「ポケモンのグラフィックなんて一匹5分もあれば作れる」というSNS上の投稿に大きな批判。3Dモデルを作るのはいかにして大変か

11月18日に発売を控えた「ポケットモンスター」シリーズ最新作である「ソード/シールド」だが、主要開発メンバーであるゲームフリークの増田氏によって開発時間がかかることやクオリティの観点から全てのポケモンが登場しないことが明かされている。(関連記事)

実際ハードウェアの世代が変わる際はビジュアル面の観点から3Dモデルを作り直さなければなないのだが、開発期間やリソースなどを考えると全てのモデルを、それも膨大な種類であれば作り直すのは不可能に近い。

例えばレースゲームの「フォルツア モータースポーツ」シリーズはXbox 360からXbox Oneに世代が変わった「5」で車を新しくモデリングし直したが収録台数は「4」に比べ大幅に減ってしまっていた。

この増田氏の発言は様々な議論を巻き起こし波紋を呼んでいるのだが、そんな中あるTwitter上の発言が批判を浴びている。

問題となっているツイート

5分で作ることはほぼ不可能

この開発元であるゲームフリークを罵倒する言葉や「ポケモンのグラフィックなんて一匹5分もあれば作れる」といった文が並べられたツイートはモデリング経験者を中心に批判が多く寄せられ、結果的に「炎上」する形となった。

3Dモデルを制作したことのある人なら分かるだろうが、どれほどの熟練者でも5分で一からキャラクターをモデリングすることはほぼ不可能に近い。では実際に3Dモデルを作る過程と共に理由を説明しよう。

モデリング

まずはキャラクターを形作る「モデリング」を行う。簡易なものであれば時間はかからないが、現代のハードウェアの映像品質に耐えうるクオリティに仕上げるにはこの時点で数日から数週間はかかる。因みに先程紹介した「フォルツア モータースポーツ」や「グランツーリスモ」シリーズは1台の車に6ヶ月以上もの期間をかけてモデリングされている。

Image by かんたんBlender講座

マテリアル・テクスチャの設定

モデルの形が出来ても完成ではない。何故ならこのままでは色も質感も付いていないからだ。それ故に質感を表現するため「マテリアル」を設定し、模様や色などを表現するためにテクスチャを張る必要がある。テクスチャは「UVマッピング」という作業で3Dモデルを2次元の画像情報に変換し、そこにペイントソフトなどで書き込みを行うことで貼ることができる。物にもよるが、到底5分でできる作業ではない。

Image by かんたんBlender講座

ボーンやアニメーションの設定

モデルが完成しても終わりではない。このままではキャラクターは棒立ちで動かないままだ。故にキャラクターに命を吹き込んだりアクションをさせる為に「ボーン」と呼ばれる骨格を入れ、キャラクターを動かすアニメーションを製作する作業が必要だ。

モーションキャプチャーなどを用いればアニメーションの制作は効率化できるが、ほぼそれが出来ない架空の生き物であれば1からアニメーションを作る必要がある。アニメーションは1つだけではなく、待機モーションや歩行、攻撃など必要な数だけ作る必要がある。

Image by かんたんBlender講座

技術の進歩によりある程度は緩和されつつあるが、それでも膨大なモデルをゲーム機の世代が変わる度にモデリングをし直すのは非常に労力のかかることだ。

だが近年ではそれに対する策を講じようと試みる開発者もいる。例えば「グランツーリスモ」シリーズを手がける山内一典氏は「ゲーム機が進化するたびに同じ自動車をモデリングするのは無駄な工程だ」と考えるようになり、その対策としてあらかじめ長きにわたり使い回しが可能な車のモデルデータを作り、それを適応型テッセレーションを用いてポリゴン数を最適化しゲーム内に落とし込むという手法を取っている。(参考)

いずれにせよ「5分でできる」という意見はナンセンスであり、ましてや物作りを甘く見ているとしか言いようがない。

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